東京地方裁判所 平成7年(特わ)3573号 判決 1996年4月16日
裁判所書記官
丸山和子
本店所在地
東京都江戸川区松江四丁目二五番八号
株式会社
朝日自動機械
(右代表者代表取締役 園田圭三)
本籍
埼玉県川口市大字芝五一九九番地
住居
同市芝四丁目三番五号
会社役員
園田圭三
昭和一七年三月二四日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官長島裕、弁護人鈴木善和各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社朝日自動機械を罰金一〇〇〇万円に、
被告人園田圭三を懲役一〇月に処する。
被告人園田圭三に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社朝日自動機械(以下「被告会社」という)は、東京都江戸川区松江四丁目二五番八号に本店を置き、自動機械の設計及び製作等を目的とする資本金五〇〇〇万円(平成四年三月二四日以前は三二〇〇万円)の株式会社であり、被告人園田圭三(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上
第一 平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五三四六万三七一九円(別紙1の修正損益計算書及び修正製造原価報告書参照)であったにもかかわらず、確定申告書提出期限の延長処分による申告書提出期限内の平成三年六月二六日、東京都江戸川区平井一丁目一六番一一号所在の所轄江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六六三万四八四四円で、これに対する法人税額が一三四万八一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成八年押第二七六号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一八七七万九二〇〇円と右申告税額との差額一七四三万一一〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ
第二 平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二〇六三万四五七九円(別紙2の修正損益計算書及び修正製造原価報告書参照)であったにもかかわらず、確定申告書提出期限の延長処分による申告書提出期限内の平成四年六月二九日、前記江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八七一万一七七二円で、これに対する法人税額が二〇二万六七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六四九万七九〇〇円と右申告税額との差額四四七万一二〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ
第三 平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六九六九万二三八二円(別紙3の修正損益計算書及び修正製造原価報告書参照)であったにもかかわらず、確定申告書提出期限の延長処分による申告書提出期限内の平成五年六月三〇日、前記江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七二三万九二二九円で、これに対する法人税額が一六〇万七九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二四九五万五五〇〇円と右申告税額との差額二三三四万七六〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書二通
一 川村静及び園田久美子の検察官に対する各供述調書
一 脇坂善弘の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 大蔵事務官作成の受取利息調査書、損金の額に算入した都道府県民税利子割調査書及び領置てん末書
一 検察事務官作成の捜査報告書
一 登記官作成の登記簿及び閉鎖登記簿(二通)の各謄本
一 押収してある申告期間の延長の特例の申請書一袋(平成八年押第二七六号の4)
判事第一及び第三の事実について
一 大蔵事務官作成の売上高調査書
判事第二及び第三の事実について
一 大蔵事務官作成の期末仕掛品棚卸高調査書及び事業税認定損調査書
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の外注設計費調査書
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の1)
判示第二の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の2)
判事第三の事実について
一 大蔵事務官作成の外注加工費調査書、期首仕掛品棚卸高調査書及び雑費調査書
一 押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の3)
(法令の適用)
※ 以下の「刑法」は、平成七年法律第九一号による改正前のものである。
一 罰条
1 被告会社
判示各事実につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項
2 被告人
判示各所為につき、いずれも法人税法一五九条一項
二 刑種の選択
被告人につき、いずれも懲役刑
三 併合罪の処理
1 被告会社
刑法四五条前段、四八条二項
2 被告人
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条
(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)
四 刑の執行猶予
刑法二五条一項
五 訴訟費用
刑事訴訟法一八一条一項本文
(量刑の理由)
本件のほ脱法人税額は三期合計で約四五二五万円で、ほ脱率は通算約九〇パーセントである。このような脱税額、ほ脱率のほか、犯行の動機、態様、被告人の反省状況、被告会社の納税状況(附帯税を含め完納済み)等を考慮して、主文のとおり量刑した。
よって、主文のとおり判決する。
(求刑 被告会社・罰金一三〇〇万円、被告人・懲役一〇月)
(裁判官 安廣文夫)
別紙1
修正損益計算書
<省略>
修正製造原価報告書
<省略>
別紙2
修正損益計算書
<省略>
修正製造原価報告書
<省略>
別紙3
修正損益計算書
<省略>
修正製造原価報告書
<省略>
別紙4
ほ脱税額計算書
株式会社朝日自動機械
<省略>
株式会社朝日自動機械
<省略>
株式会社朝日自動機械
<省略>